わが妻、卑弥呼による謎の呼びかけ

「みんな!収穫の季節だよ!」 卑弥呼は、国民たちに威勢よく呼びかけてみたかったのに、肝心の呼びかけるべき内容が見つからなかったらしく、唇寒さに「収穫の季節」という言葉を持ち出したのだった。しかし残念ながら、この春には稲以外のものを植えた覚え…

わが妻、卑弥呼は花粉症になりたガール

わが妻、卑弥呼は花粉症になりたがっていた。 どうやら、一部の人しかかかっていない、最先端の病気を患ってみたくなったらしい。花を見つけると花に顔を近づけ、鼻の内側のじめじめした粘膜に、おしべをこすりつけて、黄色い粉を受粉させ、様子を伺ったもの…

わが妻、卑弥呼の「勝ち組」話

わが妻、卑弥呼の口癖はいろいろあり、その一つ一つが耐えがたいのだけど、もっとも不快な口癖は「わたしは勝ち組」だと思う。 そもそも、「勝ち組」の「勝ち」はともかく、「組」がわからない。卑弥呼が大王で、他は卑弥呼に従うしかないのだから、「勝ち人…

わが妻、卑弥呼と稲作農業

わが妻、卑弥呼は、初めてわたしと出会った頃は、美しくなくはなかったが、みすぼらしい身なりをした、ただの若い女だった。生まれつき王になる資格を備えているというわけではない、たたき上げの大王だったのだけれど、彼女がここまでのぼりつめたのは、そ…

わが妻、卑弥呼とくだもの祭り

まだまだ寒い日も多いが、日一日と、確実に気温が上がってきたように思える。真冬の間は、分厚い熊の毛皮を着ていた人々も、軽量でお洒落な鹿の毛皮に着替え始めた。お調子者は、特製の、角が着いたままの毛皮を着て肩で風を切って闊歩している。春はもうそ…

わが妻、卑弥呼が女の裸に興味を持つ

わが妻、卑弥呼が、最近、女性の裸に興味を持っている。もちろんそれは、性的な興味からではなかった。卑弥呼は男根模様のあしらわれた麻製の布団をかぶり、亀頭の形によく似た枕で、尿道に相当する部分に後頭部をはめ込んで寝るほどの男好きなので、女を抱…

わが妻、卑弥呼と魏の鏡

先日、「魏から来た使者である」と主張する者がやってきた。 しかし、どうも怪しい。 「小さな木の船で気が遠くなるような距離を漕いで来た。実際、3回くらい気を失って、そのたびに硬い泡みたいなのが口から出た」 とか言うのだけれど、その割に、着衣は乱…

わが妻、卑弥呼と食器洗い機

ご存じの通り、土器というものは、油がこびりついたらなかなか落ちない。しかし、わが妻、卑弥呼のきれい好きは度を越していて、いつも新品の食器を使わないと満足しなかった。それゆえ、食事のたびに土器を焼かねばならず、湿度の高い日などは、焼くのが間…

わが妻、卑弥呼の新年のあいさつ

元日にはあいさつをすると言っていた卑弥呼だけれど、実際のところ、卑弥呼以外の者には暦がどうなっているかはわからない。卑弥呼が日だと言えばそれが元日になる。彼女が 「そろそろ今年も終わりね…」 と言いだしたら、皆は竪穴住居の中に乱雑に置いてある…

わが妻、卑弥呼の起床時間が遅すぎる件

年が明けたのに、相変わらず卑弥呼の朝は遅かった。 年末に、 「元旦は早朝から決意表明などをするので絶対に早起きして集合、集まらなかった者は煮て肥料にする」 と言い放っていたというのに。彼女は揺すっても絶対起きることがない。 単に振動を与えただ…